弱い心と付き合って50年

 人がたくさんいるところが苦手だ。人のエネルギーにやられるってこともあるけれど、一番の理由は、弱い自分の心と向き合ってしまうからだ。

 

 フードコードで、オーダーしていないのに席をあらかじめ確保する人を見て心痛める。

 需要と供給のバランスが完全に壊れているのにもかかわらず、繁忙期だという理由だけで掻きいれている場所で働く人たちの、とにかくこの場をどうにかしなければって顔や、なんだなんだ、こっちは予約して金払ってんだぞーってゲストの態度とか。

 ゴミのように陳列されている特売品とか。

 

 お金もちでもないし、倫理観にキビシイわけでもない。

ただただ、弱い人です、私は、心が。

 人の大きすぎる欲望や、この世界には他者がいないであろうとする振るまいに、直面すると怯む自分がいる。

 

 きれいごとではなく、弱い自分は、自分自分って場所に出会うと胸が痛むんだ。

 

 そんな私とは全く正反対に、妻や子どもたちは、人の多いところが大好き、人として圧倒的に正しい。 

 昨日今日と家族4人の日程があったので神戸の温泉があるホテルに行った。

年末ということもあり、チェックインからかなり並び、夕食は予約している

人のみ(妻が予約してくれてました)でパンパン。私の苦手なビュッフェ。この夜は、パンパンに予約が入っていたからか、全然補充が間に合わない料理がたくさん。とにかくこの時間をこなそうとするホテルの人と、少額ではない金額を出した夕食への本来享受するべき対価に見合わない諸々にイライラする人々のさま。

 どちらも、正義だ。

 

 朝食会場もずっと行列。

10時30分ラストオーダーの会場に10時20分に会場入りするカップルに「10時30分で料理撤収するのでたくさんとってくださいね」と言うレストランの人。小さくうなずくふたり。誰も間違ってないし、誰もが少しうしろめたくなっていた。

 

 チェックアウト後はイケアに娘の部屋の家具を見るために向かう。

人人人。消費の化物を見る。

安価と大量。このふたつが社会を覆う。

 50円のソフトクリームを買うのに大行列してる子どもたちを見て小さくため息。

 

 家族がいてくれるから、なんとかやってるんだ。

自分の好き嫌いより、自分の好きな人たちが喜んでくれるかどうかだ。

少しはマシになってと思っているんだけれど、本当は全然ダメ。

楽しんでソフトクリームを待っている子どもたちを見てため息をつくなんて、ダメにもほどがある。

妻や子どもが私の顔を時折伺っているのがわかる。

あからさまに機嫌が悪くなるんだ、私。

そういうとき、ダメだなーって思うんだ。。。

 

 

 明日は大晦日、妻にカウントダウン行かない?って言われたけれど、行かないって答えた。まだまだだなあ、オレ。

 

 妻と子どもがいるから、多様性って言葉の意味を知った。それがいいとか悪いとかではなく、知らずに生きていた私が少しは変わった。

 感謝している。全然ダメな私だけど、心から感謝している。