オレはカルチャー
サブカルくそ野郎だと思ってた、ずっと、自分のことを。
先日、自転車に乗っているときに気がついた。あれ、オレってサブカルって言われるもので好きなものってあったけ?って。
そもそもサブカルってなんなんだろう。インターネットなんかない時代、地方都市で10代を過ごしたものにとって、「宝島」「ビックリハウス」に載っているものがサブカルのすべてだった。でも、よくよく考えると、地方都市にはカルチャーが存在しない(今もそれは変わらない)のに、サブカルって。主体がないのにサブ。変だ。
たぶん、私は、都市でサブカルと言われているものをカルチャーだと思っていたんだ。ふだんテレビや雑誌で目にする大衆的なものに自分の居場所がなかったから、こっち側なんだと思うようにしていたフシがある。
サザンオールスターズやユーミンはしっくりこない。ましてや歌謡曲や演歌なんかわからない。そんな自分はみんなと違っている、よくあるこの思考パターンは、自意識過剰で幼稚な人間特有のものだ。
でも、よく考えてみたら(そんなに考えなくても)、岡崎京子やフリッパーズギターは、肌に合わなかった。嫌いってわけじゃないけれど、どちらかというと苦手だった。それはたぶん、私には生生しかったんだ。反対に、佐野元春が好きなのは、彼はインタビューで自分の作るモノはすべて創作だと言っている通り、そこに生生しさがない。だから好きなんだ元春が、と後年気付いた。だけど、それは、そこに肉体がないという意味ではない。
たとえば、釣り上げた魚をその場で調理してもあまりおいしくない感じ、寝かせてグルタミン酸が回る時間が必要だよ、うまくするには。って、間違いなく例えを間違えてるな、オレ。でもね、まあ、そういう感じ。
伝えるべきことは、少し時間を置いてからでないといけない、そう思う。
話がズレました(いつものことやん)。映画を見ないからかもしれないけれど、好きな映画はと聞かれると「ダイ・ハード」と答える。またまたー、みたいな顔をされるんだけど、本当。小説や音楽もそう。よくよく考えてみると、私はどうやら狭く浅い人間みたい。
パンクが好きですって言うんだけれど、結局、セックスピストルズとかクラッシュとかダムドが好きで、どインディーなものはよくわからなかったりする(もちろん好きなものもいっぱいあります、念のため)。
難解な映画も小説もよくわからない。わかりやすいくらいわかりやすいも好む。漫画だって、ガロ系なんて苦手、ドカベンが好きだった。
小説も音楽も好き。ってことは、それは文化的だ(すべてがおそろしく浅いとしてもだ)ってことだよね。
つまり、私はカルチャーが好きなんだ。
大衆が好むものと相性が悪く(本当はここにガッチリはまりたい。サザンやミスチルのドームコンサートなんかで熱狂してみたい)、かと言って、エバンゲリオンみたいなものに熱狂も出来ず(なにかに入れあげてみたい)、どっちつかずの場所でいるこの不安定さを楽しめるわけもなく、なんだかなーオレ、って感じ。
でも、本当は、みんなそうなのかもしれない。
ミーハーで生きられる人は、生きる技術が高いと思う。
なにかにはまれる人は、生きていく深度が深いと思う。
あーあ、なんかうらやましいなあ、って思うオレは、ただのカルチャーくそ野郎だ。カルチャーは文化。文化とは、社会を構成する人の多数の振る舞いのこと。すなわち、私は、ただのふつうのくそ野郎ってこと。
なーんにもわかってないし、これからもきっとこんな感じ。でもね、そのことに気付けてよかったと心から思っている。自分はみんなと違うんだってずっと思って生き辛かったから。でもね、みんなそうなんだよね、みんなそう思っているんだけれど、それを表に出さず生きてる。立派だ。そうしないと社会は成立しないってわかってるんだ。
オレはカルチャー。好きなものを肯定して生きていく。
そう言うことで、生き辛そうな人がひとりでも、自分を肯定してくれるといいな。
そんなことを思う今日この頃です。